工学部材料化学科の木田拓充講師がプラスチック成形加工学会 若手奨励賞および論文賞を受賞しました
2024年6月25日
6月19日?6月20日にタワーホール船堀(東京)にて開催されたプラスチック成形加工学会第35回年次大会において贈賞式が行われ、本学工学部材料化学科の木田拓充講師が若手奨励賞および論文賞を受賞しました。
若手奨励賞は、プラスチック成形加工および関連分野における若手研究者?技術者の活発な研究を奨励し、将来において、プラスチック成形加工および関連分野の発展のために貢献が期待できる人材に対して与えられます。また、論文賞は過去一年間における「成形加工」誌に掲載された研究論文を対象に、独創性?工学的寄与と波及効果?努力度 などの観点から最も優秀と認められる2編以内の論文を表彰するものです。
若手奨励賞について
題目
Rheo-Raman分光法を用いた結晶性高分子の一軸変形メカニズムの解明
受賞者
木田拓充
概要
ポリエチレンなどの結晶性高分子材料は、他の材料では達成できない優れた延伸性や靭性を有しており、我々の日常生活で数多く使われています。しかし、結晶性高分子が示す優れた力学物性の発現メカニズムは未だに十分理解されておらず、以前から精力的に研究が行われてきました。本研究では、分子レベルの情報を観察することができるRaman分光法を用いて、結晶性高分子の一軸引張試験を行いながら、同時にRaman分光測定を実施する新たな測定手法(Rheo-Raman分光法)を開発しました。Rheo-Raman分光法を用いることで、結晶性高分子の引張試験過程で生じる分子レベルの変形挙動を直接?リアルタイムで観察することが可能となり、結晶性高分子の高性能化?高機能化に繋がる知見が得られました。
論文賞について
題目
ポリプロピレンのせん断誘起結晶化に及ぼす繊維状結晶核剤の影響
受賞者
Khunanya Janchai、井上貴博、岩崎祥平、木田拓充、山口政之
概要
ポリプロピレンは代表的な結晶性高分子であり、溶融状態でせん断流を印加すると、分子鎖が流動方向へ配向することで配向結晶が形成し、材料の弾性率や強度が著しく向上します。このような配向結晶を形成させるためには、非常に強いせん断流を印加する必要があり、実際の成形加工条件では配向結晶の形成が困難な場合がありました。本研究では、近年開発された繊維状結晶核剤を用いることで、弱いせん断流の印加だけで配向結晶が形成されることを明らかにし、繊維状結晶核剤が配向結晶の形成に与える影響を多角的に評価しました。